被相続人の住所の証明 =戸籍の附票 取得のポイント
被相続人の戸籍の附票(ふひょう)とは?
相続登記の申請書には通常、被相続人の戸籍の附票(または住民票の除票)を添付します。本籍地の市町村役場で取れますので、戸籍と一緒に取るのが良いと思います。
戸籍の附票というのは住所の履歴書のようなものです。
住所といえば住民票を思い浮かべる方が多いと思うのですが、一般に住民票に記載される住所の履歴は2つか3つ程度であることがほとんどで、戸籍の附票のほうが記載される履歴の数が多いです。何度も引越をしている場合は、戸籍の附票を取得した方が、住所のつながりを証明しやすいのです。
戸籍の附票見本 名古屋市ホームページより
相続登記に戸籍の附票が必要な理由とは?
登記簿は以下のように表題部、権利部(甲区、乙区)が設けられていますが、所有者が登記されているのは権利部(甲区)です。
下の登記簿(登記事項証明書)見本を見ていただくと、[権利者その他の事項] の欄に 所有者の住所と氏名が記載されているのがわかります。
このように、登記簿では住所と氏名しか確認できないわけですが、一方で戸籍には本籍が書いてありますが、住所は記載されていません。なので法務局としては、「確かに登記簿と戸籍の名前は同じだけど、住所が違う別の人かもしれない。住所の証明がなければ登記できない」となるわけです。なのでこの不動産の所有者と、被相続人が同じ人ですよ、ということを法務局に証明するために被相続人の住所が掲載されたものを提出する必要があるんですね。
そこで被相続人の戸籍の附票(または住民票の除票)を添付する必要があるというわけです。
戸籍の附票取得のポイント
被相続人の戸籍の附票に記載されている住所が、登記簿に記載されている住所と一致することで、不動産の所有者として記載されている人と被相続人が同一人物であるということが証明できるというわけです。
戸籍の附票を取るときには、不動産の登記簿を役所に持っていって、「この住所とつながるように附票を出してください」と窓口でお願いしてみましょう。被相続人が登記簿の住所から何度か転居していることもあるでしょう。そのような場合には、お亡くなりになったときの住所から、登記簿の住所につながるまで数通の附票が必要になることもあります。
戸籍の附票が取得できない場合の手段
しかし、戸籍の附票や住民票の除票は役所で保存しなければいけない期間が決まっていたので、「転出等により除票となってから5年」で廃棄されているケースがあります。
よって被相続人が5年以上前に亡くなっている場合などには役所で戸籍の附票が廃棄されていて、発行してもらえないことがあります。
このような場合には、
・被相続人の戸籍の本籍地が登記簿の住所と一致しているときはその戸籍(何通か戸籍があるときはそのうちのいずれかの本籍が登記簿の住所と一致していれば良い)
・所有権に関する被相続人名義の権利証(登記済証または登記識別情報)
を提出すれば、戸籍の附票(または住民票の除票)の提出は不要になります。
また法務局によりますが名寄帳の提出で不要になる場合もあります。
また、相続人全員から「不動産の登記名義人は被相続人と同一人物で間違いありません」という内容の「上申書」を提出せよという法務局もあるようです。
このあたりは法務局によって取り扱いが統一されていないので、附票や住民票除票が廃棄されていて、被相続人の戸籍の本籍地が登記簿の住所と一致しておらず、権利証もないという場合には、どうしたらよいか法務局に相談されると良いと思います。
あと不動産を相続する人の戸籍の附票または住民票も必要です。これも忘れずに準備しましょう!