遺言書に相続人の廃除を記載すれば当然に推定相続人から除外されるか
Q. 磯野波平は、その法定相続人サザエについて、生前にいろいろと迷惑をかけられたとして、こっそり相続人から廃除したいと考え、遺言書に「フグ田サザエを推定相続人から廃除する」と記載した。これによりサザエは当然に相続人から廃除されるか。
陥りがちな誤り
波平は遺言書で相続人の廃除の意思表示が記載すれば、当然にサザエを相続人から除外できる・・と思ってしまったのですね。
ですが廃除は認められない場合もあることに注意しなければなりません。
本当は・・
⭕遺言書に相続人廃除の意思表示が記載された場合でも当然に廃除されるものではなく、遺言執行者から家庭裁判所に対して相続人廃除の申立をおこない、これを認める審判が確定しなければならない。
もし遺言執行者が遺言で記載されていなければ、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立を行い、これにより選任された遺言執行者により相続人廃除の申立を行う必要がある。
解説
推定相続人の廃除(民法892)とは
のいずれかに該当する場合に、被相続人の意志により推定相続人の相続権を剥奪するという制度です。
その意思表示は遺言によって行うこともできます(民法893)。
しかしながら、廃除は推定相続人の相続権をなくしてしまうという重大な効果を生じさせるものですから、1〜3のいずれの廃除事由も被相続人の主観的な判断では足りず、客観的に被相続人との間の相続的共同関係を破壊する可能性を含む程度のものである必要があるとされています。
遺言によって相続人を廃除したい場合には、まず遺言書でその旨明記し、さらに排除したい相続人について、具体的にどのような廃除事由が存在するかを明確にし、根拠資料を添え、遺言執行者にしっかり託しておく必要があります。
それにしても、波平さん54歳・・
福山雅治さんと同い年ですか・・
昔は50代というと波平さんみたいなおじいさん風のイメージだったんですね。
さて、50代で遺言書く人、どのくらいいらっしゃるんでしょうね。
いままで私が遺言書作成をお手伝いした50代の方はお一方だけです。
人生100年時代と言われ寿命が伸びてきている昨今ですから、なかなか50代で遺言書こうか・・という気になる方は少ないかもしれませんね。