相続人ではない受遺者については遺言書に氏名・住所のみ記載しておけば足りるのか
Q. 磯野フネは、遺言を作成中だが、仲良しの友人、伊佐坂お軽に遺産の一部を渡したいと思っている。この場合、友人お軽の情報として、住所と氏名だけを記載しておけば十分と言えるのか。
陥りがちな誤り
住所と氏名だけ記載しておけば受遺者の特定は十分だと考える人は多いと思います。
実際そのような遺言をよく見ます。
しかし・・
本当は・・
⭕受遺者の特定については、氏名・住所とともに、本籍地も記載しておくべきである。
解説
もし受遺者の住所が変わっていなければいいのですが、もし変わっていた場合が問題です。
住民票は転居後5年で廃棄される扱いになっていますので、受遺者が引っ越してから5年経過すると、受遺者の現住所を知ることができなくなります。
これに対し、本籍地まで記載されていれば、本籍地が変更されない限り、住所変更から何年経っても、戸籍の附票を取得することにより、受遺者の現住所を知ることができます。
本籍地が変更されると、5年経過すると戸籍の附票を取得することができなくなりますが、住所に比べて本籍地を変更する可能性は低いので、本籍地まで記載しておくべきだといえるでしょう。
よって、仲良しの友人など、相続人ではない方に遺贈する場合には、住所・氏名だけでなく本籍地の記載もするようにしてください。